ここには第二次世界大戦末期に伏龍部隊の基地として掘削された壕が残されている。
また、同じ場所に、洞窟砲台や25mm機銃が装備されていたという銃眼も残されている。

昔来たときは「この先立入禁止」の立て看板が立っていたような気がするが、波で倒壊してしまったのか、何にも咎められることなく壕口まで辿り着いた。
足場は多少悪いが、本日の干潮は潮位差が少ないため岩場を乗り越えての入壕となった。
ここが、伏龍部隊が出撃する予定だった壕口らしい。

壕口から見ると、丁度岩がえぐれており、角度によっては壕口を隠している。

早速侵入していく。
中は完全な素堀りであった。
大抵の地下壕は、日常生活では体験できないほどの闇と静寂につつまれるのだが、この壕は打ち寄せる波の音が壕内の奥まで響き渡り、とても騒がしかった。

内部の構造は迷う心配は全く無く、2本の本坑を横坑でつなげただけの単純な物であった。

当時は海側からR134の道路まで壕が貫通していたようで、道路脇の塞がれた壕口付近まで辿り着いた。

この付近は、自然崩落か埋め戻しかは分からないが、大量の土砂が堆積しており、腰を屈めて這いつくばるようにして進まないと奥まで辿り着けない。

侵入した壕口とは別の本坑にある壕口から、壕内のかなり奥まで光が差し込んでいる。
しかし、油断しているとつるつるの壕床に足を取られ、尻餅をついてしまいそうだ。
また、壕口に向けゆるやかに傾斜しているので、滑り台のように滑ったまま海に落ちる可能性もある。

こちらの壕口に建てられている立入禁止の看板。
ここにカノン砲が据え付けられていたのか!?
もっと水位が低ければ、海側からもアクセス可能かも知れないが、今回は完全に外は海だった。

距離も短いこともあり、あっという間に内部探索を終え、再び岩場へとよじ登る。
ちなみに、潮が満ちてしまうと壕内から出られなくなる可能性が高いので、訪れる方は注意が必要だ。

岩場の上から銃眼を見る。
かなり大きい銃眼であるから、あの場所まで行くことが出来れば侵入は容易いだろう。
ただ、海面から 5m程度あり、下からのアクセスは難しそうだ。
また、銃眼の右下から下に向かって黒く変色しているのが分かると思う。

この変色は銃眼下部からの流水により苔が生えているようにも見える。
この位置から水が出てきていると言うことは、銃眼内部は完全に浸水している可能性もある。
いずれにしても、銃眼まで辿り着けないため、推測することしか出来ないが、なんとか侵入してみたいものだ。

侵入の方法としては、崖の上部よりロープを使って降りていくのが一番現実的であるが、降りた後戻るのは、クライミング経験者でないと難しそうだし、何より岩肌が脆く危険を伴う。

この岩場の上部はどうなっているのか、今度は内陸から登っていくと、壕口を見つけた。
ただ、この壕は奥に棲息部があるだけの単独壕だ。

yakumo氏が、山の斜面を頂上まで登っていったが、特にめぼしい発見は無かった。

転落すると134号線の車道に転がり落ちてしまうため、とりあえず安全なところまで戻る。

先ほどの銃眼上部にやってきた。
と言っても、位置的には壕口の上辺りか。
公園なので柵があり、柵の外に出ないよう注意書きがある。

柵の向こう側を進むと、たしかに断崖絶壁だ。
落ちたら死んじゃいそうだし、ここからロープで下るのはちょっと無理かな…。
日中なら多分通報されるだろう。

最後に、国道 134号線側へ降り、山肌にある塞がれた壕口を確認していく。
多数の壕口が塞がれているが、このいずれかは銃眼に続いているのだろう。
ちなみに、塞がれた壕口に小さな穴が開いていた。
早速カメラを突っ込んで撮影してみる。

写ったのがこちら。
ゴミが写っているが、壕口が塞がれる前に投げ込まれた物だろうか。
それにしては新しいような…。
海側から波風により押し込まれたものかも知れない。
以上、稲村ヶ崎を回ってみたが、現状では銃眼への侵入はとても難しそうである。
ただ、公園となっているので開発されて遺構が無くなってしまうことは無いと思われるので、慌てなくても大丈夫かも知れない。
潮位が下がって銃眼下部まで行くことが出来れば、なんとか内部の様子を撮影することなら出来そうなので、機会を見て再調査に訪れるつもりである。
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