
壕口ではyakumo氏が入壕の準備をしている。

早速壕口から内部へと進入したのだが、入ってすぐに盛大に水没していた。

水深はひざくらい。
長靴装備のyakumo氏はこれ以上進む事が出来ない。
申し訳無いが、単独で奥を見に行く事にする。

本坑の脇にはいくつもの部屋が掘削されている。
しかも、めちゃめちゃ丁寧に掘られている。

壕口が塞がれているので、行き場を失った水が大量にたまっている。
ジャブジャブと音を立てながら、奥へと進んでいく。

澄んだ水は、歩く事によってたちまち濁った水へと変化する。
多人数で探索の際は、注意しないと水中の瓦礫に足を取られそうだ。

奥へ進んでいくとだんだんと水は引いた。

入壕した壕口と反対側の山の斜面付近まで来たようだ。
しかし、いくつもある壕口はしっかりと塞がれている。
おそらく野島の野球場の裏手辺りだと思われるが、こんなに大きな壕口あったっけか!?

ちなみに、野島に掘られている壕の中で、この壕が一番延長が長い。
壕内図と地形図から概算すると、総延長は 1200m程度では無いかと思う。

北側の壕口付近を探索していると、120cm程度高く掘られている箇所を見つけた。

よくみると、階段が掘られている。
まあ、階段というにはあまりに急だし、足場も悪いのだが、登る事は出来そうだ。
さっそく上がってみると・・・。

上がったところは部屋状に掘削されており、更にそこから狭い坑道が伸びている。
埋められているが、どうやらここにも壕口があったようだ。

埋められた壕口のすぐ横には、棲息部が設けられていた。
開口していた時期の物だろうか。ゴミが残っている。

再び階段の所まで戻ってきた。
上部から見る階段は、さらに急で狭い。
足場は写真で見る以上に湿っており、つるつると滑るため、手をつかずに下りる事は困難だった。

再び壕内をうろうろする。

ひときわ広く掘削されている。
内径の異なる奥の坑道は、塞がれているわけでは無く、こういう形の掘削だった。
位置的には、この向こう側に、B壕、その向こうに A壕があるのだが、それぞれの壕に接合部は無い。

奥部でも場所によっては水が溜まっている。

先ほどの内径の異なる掘削部分。
こういう掘削は個人的には大好きだ。
単純な坑道に比べ、明らかに人為的なものを感じるからだ。

ん?なにかころがってるぞ。

近づくと防火用水を入れるコンクリートが転がっていた。
昔の写真なんかを見ると、昭和前期は街中にもこのような物がたくさんあったようだが、いつの時代の物だろうか。

このあたりの壕床は荒れていたが、崩落による物ではなさそうだ。
向こうにはなんか溝が見える。

ど真ん中に溝が。
なんだこれ。
明らかに排水溝とは違う。

野島 C壕は、山を貫く巨大掩体壕と平行な本坑が 4本掘られており、それぞれの 4本の坑道を、いくつもの横坑でつないだ作りとなっていた。
この壕もとても丁寧な構築で、排水もよく考えられているようだ。
残念ながら壕口が塞がれる事によって、正常な排水はされていないが、壕口付近のみに水没区間が集中しているということは、壕口が開けば一気に水没区間は無くなりそうだ。

機械の台座のようなものが残されていた。

中央に掘削された凹みの両脇に、等間隔に穴が開いている。
この壕って、実際に稼働していたのか!?

この壕の奥部には、このように興味深い構築がたくさん見受けられたのだが、壕口に待たせている yakumo
氏らをこれ以上待たせるわけにはいかない。

太陽の向きのせいか、入壕した壕口の隙間からは盛大な光が差し込んでいる。
一人がやっと通り抜けられる隙間の割りには、明るすぎるような・・・。
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今回、野島の地下壕を3つ回ったが、想像していたよりも遥かに広大な空間が野島には残されていた。
野島の山の斜面には、いくつかの壕口のような物が見られるし、もしかしたら今回入った壕の他にも、壕があるのかも知れない。
隣の夏島や貝山でも、上層部に壕が掘られている事から、ここ野島でも同様のものがある可能性は十分にある。
今後も、野島・夏島・貝山とも、調査を続けて行きたい。
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