
この写真の中央に写っている穴がその穴だ。

切り立った崖の中腹に開けられているその穴。
柵が取り付けられており、なにやら看板も見えている。

デジカメで寄ってみると・・・。
なんと立入禁止と書いてある。
あんな場所に行く人なんてそうそういないだろうに、わざわざあんな看板を取り付けているとは。
行けなそうな場所にあるので、気になって仕方が無い。
発見から数ヶ月後、あの穴を調べに行くことにした。

早朝から江ノ島へと車を走らせる。

小動岬の裏手にやってきた。
さて、どこら辺から攻めていこうか。

現地で待ち合わせた yakumo氏と、すじ氏と共に、まずは崖下へと進んでみる。
ロープを垂らし、3m程の堤防を乗り越える。

崖の中腹に開いているこの穴。
下からも行けそうな雰囲気に見えたのだが・・・。

ものすごい薮に阻まれ、なかなか難易度は高そうだ。

突入できそうな薮の切れ目を探し・・・。

頭から薮へと突入する。

しかし、この先は断崖となっており、これ以上進むことは出来なかった。

この壁の向こう側には穴があるはずなのだが、ここからのアプローチは難しそうだ。

別の作戦を考えよう・・・。
ふと海上に目を向けると、そこには大量の消波ブロックが!!

おおおっ、こんな所に株式会社三柱の、三柱ブロック が!!
消波ブロックで興奮したのは、親不知、子不知探索 以来だ。
まさかこんな所で出会えるとは・・・(*´д`*)
あの上に登りたい・・・。 ← 病気

気を取り直して、探索を続ける。
別の方角から薮への突入を試みる。
yakumo氏が果敢に攻めるも、穴までは 2m以上の段差があり、崖側からの進入は無理と判断。

裏側からの進入口を探すために、今度は岬に登ってみることにした。
再び防波堤を越えるために海岸を戻っていく。

ロープを垂らしておいたのものの、足場のない防波堤はなかなか手強く、乗り越えるのに手間取ってしまった。

その後早速岬へと登り、小動神社周辺を調べ始める。
廃屋の裏手になにやら怪しいスロープを発見。
これは旧軍が構築したものか!?

スロープを上り山に分け入ると、石柱を発見。
しかし、どの面にも文字は見当たらない。

奥はもの凄い崖となっており、ここからはどこへも行けなそうな感じだ。

スロープの近くで大きめの壕口を見つけたので、奥を調べに行ってみる。
隙間から奥へと進むことが可能だったが、曲がった後しばらく行って行き止まり。
残念ながら、崖に開口した壕とは別物のようだ。

今度は小動神社の上の方を攻めてみることに。

崖から身を乗り出すと、崖の中腹に穴が見えている。
うーん。
高さ的にも、このあたりにはあそこにつながっている壕は無さそうだ。

これだけ壕口がはっきり見えているのに入れないのは、とっても歯がゆい・・・。

今度は住宅地方面の岩肌を調べてみる。
すると、とある住宅の裏手になにやら大きな開口部が見える。
大きさや形的にはやぐらのようにも見えるが、とりあえず見に行ってみよう。

広い開口部から中に入ると、そこはまさにやぐらだった。
しかし、その奥に、見覚えのある看板が。
うん、崖側にかかっていた立入禁止の看板と色もフォントもそっくりだ。
これはきっと、あの崖に繋がっているに違いない。

早速奥へと進んでいく。
高さは頭ギリギリくらいで、ちょっと腰をかがめて歩かないと頭をぶつけそうだ。

壕床の一部は水没していたが、一番ひどいところでもこの程度。
ちょっとぐちゃぐちゃしているが、長靴も必要ない感じだった。

日本軍によって第二次大戦中に掘られたと思われるこの穴は、くねくねと曲がりながら掘られている。
どんどんと奥へと進んでいく。

何度も曲がるので、だんだんと方向感覚がおかしくなってくる。
うーん、今どっちの方角に歩いているんだろう。

それほど複雑な分岐があるわけでもないのに、迷っている感が味わえる。

分岐があったので奥へとどんどん進んで行く・・・。

このあたりは時期によっては完全に水没している感じだ。
空気もちょっと澱んできた。

ここは抜け穴だったのだろうか。
外から埋め戻されているようで隙間は全く無い。
くねくね曲がって歩いてきたので、開口していた場所も特定できなかった。

分岐まで戻り始める。

坑道の一部が拡幅されている箇所がある。
棲息部なのか、資材置き場だったのか。

先ほどとは違う坑道をどんどんと進んで行くと・・・。

前方に明かりが見えてきた。
うん、これは間違いないな。

前方に見えるあの柵と看板。
崖の中腹にあった謎の穴に間違いない!!!

柵の側までやってきた。
柵はしっかりとアンカーが打たれて固定されていた。
これは崖側から来ても、入れそうもない。

ちなみに頂き物のこの写真は 10年以上前の物だ。
この頃は柵もなく、この壕口からの脱出も可能だったようだ。
海上には江ノ島が見えている。

柵の外側から写真を撮ってみる。
たしかに看板には立入禁止の文字が。

と言うことで、小動岬に見えていた謎の穴だが、無事に内部まで来ることが出来た。
まあ、謎と言ってもこの穴は日本軍が構築した洞窟砲台なのだろう。
砲室内部も非常に丁寧に彫り込まれている。

目的を果たしたので外部へと戻ることに。
砲室から外部へは出られないので、再び坑道を辿り進入口へと向かう。

しかしこの壕は崩落も無く非常に状態が良い。
なんだか観光資源にもなりそうな気もするが、こうやって、謎のままぽっかり穴を開けているのも良いのかな。
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