
JR田浦駅を過ぎ、長浦にある比与宇地下壕へと向かって歩いていく。

そして、山肌付近ををガサゴソガサゴソして・・・。

久しぶりの比与宇地下壕へ。
ここに潜るのは、2009年に潜って 以来だ。

内部は盛大に崩れているが、以前からこのエリアは崩落が多かったエリアだ。

崩落を乗り越えて奥へと進んで行く。
高さは2m程度、横幅は4m程度もある大きな坑道だ。
壁際には当時の物だろうか、大きなビンが大量に積み重ねられている。

進んで行くと、コンクリートで施工された跡が残る坑道を発見。

その先には、扉を取り付けてあったような跡が。

そして特徴的な掘り込みのある坑道もあった。

そして、この壕にはかなり立派なコンクリート巻きの部屋がある。
コンクリートの質も、なかなかのもんだ。

でも、コンクリートで巻かれているのは、この部屋の周辺のみで、他は基本的に素掘りの状態が続く。

コンクリートで巻かれているエリアから、更に奥へと進んで行く。、

以前入った時も湿度は高かったが、壕口がほとんど埋められた現在は更に湿度が上がっているようだ。
真っ暗な壕内を懐中電灯の明かりを頼りに進む。
すると、床一面に大きな皿が大量に散乱していた。

皿には海軍のマークがついている。
当時の物に間違いは無さそうだ。
ホーロー製の海軍食器は、様々な地下壕で目にする。
しかし、陶器製は珍しい。
という事は、かなり位の高い者がここにいたのだろうか。

その近くには、もう少し小さめの食器が散らばっている場所もある。

こちらも全て陶器製の海軍食器であった。

まだまだ奥に行けそうなので、その先もどんどんと進んで行く。

崩落した土砂の上を乗り越えて行くと・・・。

コンクリートブロックで塞がれた壕口が。

ここは、隣接する比与宇トンネルの内部にある、塞がれた壕口だ。
比与宇トンネル内部にはこのような壕口がいくつもある。

この写真は 2009年に撮影したものだが、当時はまだトンネル内に『軌道終端』の標識が遺されていた。
戦中はこのトンネルの内部まで引き込み線が引かれており、トンネル内部で列車からの荷役を行なっていたのだろう。

本坑に戻り、更に奥へ進んで行く。
このエリアは基本的に碁盤の目状に掘削されているようだ。

開口部分がほとんどないこの地下壕だが、ここをねぐらにしているのだろう。
ハクビシンが目の前を走り抜けていった。

地下壕の西端に近づいた。
壕床が一段高くなっている。
2009年に潜った時の記憶だと、そろそろこの辺りに井戸があるはずだ。

高くなった坑道を進むと、すぐにそれは現れた。
以前と変わらない、良い状態を保っており、内部には僅かながらの水を蓄えていた。

そして、この井戸のすぐ奥にも、同様の井戸が。
こちらの井戸は先ほどの物よりも、水量が多かった。

二つの井戸の位置関係はこんな感じ。
現在は西端の壕口は全て塞がれているが、当時はたくさんの壕口が付近に開いていた。
この付近は炊事場のような役割を持っていたのかもしれない。

塞がれてしまった地下壕西端の壕口。

どの壕口も、全くの隙間もなく完全に塞がれている。
この向こう側は、コンクリートの擁壁となっているので、今後、ここが開くことは無いだろう。

ちなみに 2009年当時はこの写真のように壕口は広場に向かって大きく開口していた。
当時は入口から詰め込まれたゴミが大量に壕床を埋め尽くし、大変な事になっていたが、壕口を塞ぐ際に、全て撤去したようだ。

今度は地下壕の南側に向かって歩いていく。

南側のエリアは以前から水没が多い。

この水没エリアには、当時の計算板のようなものが落ちていた。
正式名称は、『零式雷撃照準機三型計算板』と呼ぶらしいが、ネット上では情報が見つからなかった。
yakumo氏が以前ブログ内にて解説しているので、興味のある人は こちらのブログ をどーぞ。

水没区間は長靴程度で踏破可能なので、水の中をジャブジャブと歩く。

そして水没区間を抜け、東端へ向かう。

きれいに掘削された坑道がまだまだ奥へと続いているようだ。

東端の坑道は、小さな坑道が複雑に入り組んでいる構造となっていた。

掘りかけという訳でもないのだろうが、このエリアは他の部分に比べるとやっつけ感がある。

狭い坑道を抜けると、煉瓦造りの大きな倉庫のような壕へ出た。
5m以上はあると思われる壕の天井付近に大きな穴が開いている。
あれは、何の用途だったんだろう。

上方の坑道へは、別の坑道を辿ると行くことが出来た。

天井の穴側から倉庫の内部を見るとこんな感じだ。
当時は扉を設置して、物資の搬入や搬出をここから行なっていたのだろう。

という事で、時刻はすっかり遅くなってしまったが、久しぶりの比与宇地下壕を楽しめた。
次はまた、10年後くらいに様子を見に来ようかな。
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