ここは、第二次世界大戦中に航空機の部品を作っていたとされる、地下の秘密工場だ。
2010年の訪問 以来の訪問だがはたして・・・。

巨大なマンションの間を抜け、裏手の緑地帯へ向かって歩いて行く。

そして、山へと分け入り、山頂を目指す。
と言うのも、この壕に入るには山頂にある抜け穴から進入し、地上階まで下らなくてはならないのだ。

前日の雨により水を含んだ斜面をどんどんと登っていく。
足場も悪いし、斜面もきつい。
どんどんと体力を奪われる。

息切れしながら山頂へと辿り着く。
すると、なにやらコンクリートの柱が何本も立っている。
付近には貯水槽もあり、この付近に何かしらの施設があったものと推測される。

山頂から馬の背の尾根道を北へと進んでいく。
尾根道の北端近くに壕口があるのだ。

前回訪問時には残っていた尾根道も、崩落により分断されている。
急峻な斜面から滑り落ちると、30m下まで真っ逆さまだ。
まあ、途中の木に引っかかるとは思うけど(´-`)

今考えると素直に上を巻いた方が安全だとは思うが、つかむ物がたくさんあったため、それほどの危険を感じずに進むことが出来た。

ほどなく壕口前へと無事到着。

早速壕口から六浦地下軍需工場跡へと入っていく。
せっかく山頂まで登ってきたのに、また地上階まで一気に下る。

斜面は途中から角度を増すが、以前より設置されているホースをつかみ、ゆっくりと下って行く。
天井が低いため、頭を天井にこする度にパラパラと乾いた土砂が落ちてくる。

長い斜面を地上階まで下りきると、そこには広い空間が広がっている。
四角く掘削された坑道の断面や、フラットに削って均してある天井がとても美しい。

坑道を進むと、当時工作機械を置いていたと思われる台座が。
コンクリート製の重厚な作りだ。

当然電気も来ていたようで、当時の碍子が置かれていた。

奥へ進む前に、この広い坑道と平行に掘られている坑道へと入ることに。

平行する坑道は、土砂にて埋め戻されているが、上部に空間が残されているため体を低くして進むことが出来る。

だんだんと漂ってくる薬品臭に向かっていくと、以前もあった大量のビンが現れた。

前回訪問時より 8年の月日が流れているが、内部の液体量は変わらないようだ。
湿度が高いので蒸発しないのか、それとも全く揮発しない液体なのかは分からないが、ちょっと気味が悪い。

ビンに触れないように気を付けながら進んで行くと、ドアを取り付けてあったのだろうか、コンクリートの枠が残されている。

そして、坑道の奥には一筋の光が!

長い年月により埋め戻していた土砂が沈んだのだろう。
天井付近に隙間が開いていた。
もっとも、この向こう側は民間の工場なので、ここから出入りすることは叶わないだろうが。

当時の物だろうか。
錆び付いたドラム缶が転がっていた。

このエリアから、最初の坑道へと戻るには、再び埋め戻しの隙間を抜けなければならない。

天井付近を頭を低くして進み、横坑より先ほどの坑道へと戻ることに。

そして、先ほどの機械台座があった方向とは逆の方向へと進んでいく。

航空写真で見るとそれほど広い緑地帯には見えないのだが、実際に歩いてみると思いのほか広さがあることが分かる。

枝坑を調べながら、どんどんと奥へと進んでいくと・・・。

やがて、人の頭の高さくらいから始まっている階段が現れた。
ここは、登るのにもかなりの体力が必要だし、降りるときも危険を伴う。
今回は、ここへ初めて潜るすじ氏と空母氏だけが登ることに。

すじ氏は足場を上手く利用して、簡単にひょいっと登ってしまった。

一方空母氏は、『これは無理だ!』とか叫んでいる。
日頃の不摂生と毎日の飲酒のせいか、なかなか上手く登ることが出来ない。

手足の場所を誘導し、なんとか登ることが出来た空母氏。

早速奥へと進んでもらう。

ちなみに、再訪メンバーはなぜここに登らないかというと、この坑道は階段を上りきり・・・。

ぐるっと 180度向きを変え・・・。

少し進んだところで掘りかけで閉塞しているのだ。

土嚢で塞がれた箇所が右手に残されているので、当時は開口していたのだろうが、現在土嚢の向こう側はコンクリートの擁壁になっているようだ。

当時ははしごを掛けていたのだろうか。
なぜこのような掘り方にしたのか非常に気になる・・・。

と言うことで、一通り壕内を回ったので、そろそろ戻り始めることに。
懐中電灯を消すと完全な闇となるこの空間も、光を当てるとなんとも良い感じの空間になっている。

山頂より抜け穴を下って這い出てきたこの穴から、再び山頂を目指し斜面を登っていく。
ほとんど四つん這いになって穴に入り込み・・・。

ホースが切れないことを祈りつつ、山頂まで一気に斜面を登り切る。

そして、再び馬の背のガレた尾根道を通り山頂から地上へと山肌を下って行く。

ここ、六浦地下軍需工場は 8年ぶりの訪問であったが、前回来たときと内部にほとんど変化は無かった。
登ったり下ったりとアクセスは大変だが、また訪れてみたいと思わせる壕だと思う。
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