かつては小高い山があるだけの島であったが、埋め立てにより島は広がり、大正末期にはついに本土と陸続きとなった。
明治時代より東京湾要塞としての重要拠点であったが、後に接収され海軍用地となり、終戦までは軍用地として一般人の立入が制限されていた……。

そんないわく付きの島、夏島に標高50m程の小高い山がある。
手前に見えているのが史跡としても知られる夏島貝塚が発見された山である。
なんでも、日本最古(発見当時は世界最古)の貝塚だそうだ。
ちなみに奥に見えるのが先日探索した野島だ。

上空から見ても、まあなんてことのない山である。
日産自動車のテストコースや工場群にかこまれてここだけ取り残されているかのように存在している。
史跡として指定されていなければ、山は切り崩され埋め立て用の土砂となっていただろう。
実際、もともとあった山のかなりの部分が戦前より埋め立て用の土砂として利用されており、現在はこの部分のみが残っている状態である。
しかし!!

この山の内部には多層構造の地下壕が掘削されていたのだ!!
この図は地下壕の 1F部分の図と GoogleMapの航空写真を重ねてみたものであるが、かなりの規模の地下壕が存在しているのがお分かりだと思う。
1F部分だけでも地下壕の総延長は 2800m近くになる。
しかも頂上には弾薬庫等の建造物や海軍の石柱、偵察用の鉄塔がそのまま残っているという。
こ れ は も う 行 く し か な い !
しかし問題点もある。
この山は全域が立入禁止となっているらしい。
大規模な地下壕が存在するために、安全のため立入禁止にしているのかも知れない。
しかし、付近には同規模の地下壕が多数掘削されているがほとんどが立入禁止と明言されていない。
何か別の理由があるのかは分からないが、果たして無事に潜入可能なのか!?
まあ、机上でぐだぐだ言っていても仕方ないのでとにかく行ってみることにした。
そこにはかつて無いほどの興奮が待ち受けていた!!!!
つーか、すげーよ夏島!
てことで、今回は夏島探索のプロローグとして、夏島の上空写真の変遷をまとめてみた。

1947年2月撮影。
終戦後間もない写真で、飛行場が写っている。
何機かの飛行機も写っているのが分かると思う(赤丸は拡大)。
夏島貝塚のある山は無残に削られ、木々も伐採されているように見える。

1956年3月撮影。
飛行場であったところが畑となっている。
畑となっても滑走路の地形が浮き出ているのが面白い。
また、陸続きであった野島(左上)が切り離されている。
舟を通すために切り離したのかも知れない。
左下に写っているのは横須賀スタジアムか?

1963年6月撮影。
野島との接点は完全に削り取られて完全に別の島となった。
また、畑に代わって大規模な工場群が立ち並んでいる。

1971年5月撮影。
写真右手に大規模な埋め立て工事の様子が写っている。
貝塚のある山もすっかり木々が生い茂っている。

2005年11月撮影。
埋め立て工事も終了し、何事もなかったかのように埋め立て地に工場群が立ち並んでいる。
完全な工業地帯の島と化した夏島に、ポツンと残る緑地。
貝塚共々、内部の地下壕も是非後世に残して頂けるようお願いしたい。

おまけで、現在(2009年2月)の GoogleMap画像。
若干の建物の変化はあるが、2005年撮影の物とほとんど変わらない。
てことで、次回より潜入レポートです!
※航空写真の一部は国土交通省の国土変遷アーカイブより引用させて頂きました。
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