以前、依頼を受けて作業しており、作業ノウハウが分かっているので簡単かな・・・。

取り外してきたホイールナット。
表面のアルマイト加工が剥がれてボロボロだ。

とりあえずは表面の泥汚れを落とすために、クレンザーで洗う。

泥汚れや脂分を洗い流す。

物理的な汚れを落としたので、ここからは化学的な処理をしていくことに。

まずは、アルマイト剥離液にホイールナットを漬け込む。
すぐに、ぐつぐつと泡が発生してくる。
この作業により、アルミ表面にあるアルマイト被膜が溶け出して、アルミの地肌がむき出しとなるのだ。

溶液から取り出すと、この通り、表面が剥離された状態となる。

良く水洗いし、今度はスマトリン溶液に漬け、スマット (余計な付着物) の除去をしていく。
アルミは錆びないと思われているが、無垢のアルミは実は非常に酸化しやすく、すぐに錆が発生するのだ。
鉄さびのように目立たないが、表面が白い粉っぽくなっているのが、アルミの錆だ。
その錆を防止するために、表面に被膜を作るのが、アルマイト加工だ。

表面処理が終わったので、水洗いをする。

そして、表面に被膜を形成するための電極を取り付けるために、スポンジを挿入する。

ホイールナットと電極の接点を繋ぐために、アルミのワイヤーを準備する。

これで、プラスの電極が、ホイールナット全体に通電するようになる。
ちなみに、マイナスの電極は鉛の板につなぎ、電解液に漬けてある。

ホイールナットに +12V、鉛の板にマイナス接点を繋ぎ、電解液に 30分ほど漬けて電解処理をする。
この工程で、アルミの表面にアルマイト被膜が成形されていく。
この被膜は構造的にはストロー状の柱のようになっている。

電解処理を待っている間に、染料の準備をする。
と言っても、これはただのインクだ。

染色した後に、色を閉じ込めるための封孔剤も同時に準備する。
左側の鍋が、封孔剤だ。

染料インクの温度は、50度に保つ。
この温度に保つことによって、アルマイト被膜の穴の中に、効率よく染料が浸透していくのだ。

Amazonで買った、安物の非接触型のレーザー式温度計でも測ってみる。
こんな物が数千円で買えちゃうのはすごいな。
しかも、ほとんど誤差は無い。

電解処理が終わり、アルマイト被膜が形成されたホイールナット。
表面に付いた電解液を、軽く洗い流す。

そして、染料の中に入れ、50度の温度で染料を浸透させていく。
時間的には 5分程度で、染料インクの色がアルマイト被膜に浸透する。
時間をかけるともっと色は濃くなるが、経験上、初めの 5分くらいでほぼ色が決まる感じだ。

ストロー状の被膜の穴の中に染料インクが染み込んだので、余分なインクを水で洗い流し、次に封孔処理をする。

封孔処理と言うのは、ストロー状の被膜の表面の穴を酸で塞いでしまうイメージだ。
封孔剤でぐつぐつ煮てやることで、染料インクを閉じ込めることが出来る。

後は同様の処理を繰り返すだけだ。
電解処理をする水槽が大きければ、全部一気に処理できるのだが、場所的な制約もあり、6本程度ずつしか処理できないのだ。

流れ作業的にどんどんと作業を進める。

という事で、傷や凹みは残っているが、きれいに染め直せて満足(^^)/

ちなみに、アルマイト処理をすると、アルミ表面に強固な被膜が作られるので、表面硬度が上がり、傷もつきにくくなる。
最近、アルミパーツの製作をしていないけど、また何か作ってみようかな・・・。
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