しかし、今回の探索はほとんど成果無しのだめだめレポートである。

ということで、早速走水低砲台のある旗山崎に行ってみると、当時のものと思われる石造りの階段があった。

階段を上がると、鍵のかかった柵があった。
おそらくここが砲台へ向かう軍道なのであろう。
しかし藪がすごい…。
大丈夫かな。

この場所を下がって見てみると、山肌に向かって斜面が構築されている。
盛り土であるのか、他の部分を掘削してあるのかは分からないが、なかなかいい感じの遺構である。

柵に沿って歩いてみると、山頂に向かう踏み跡を発見。
早速侵入開始した。

それにしてもすごい藪だ。
前日までの雨により湿り気もあり、あっという間に服がびしょびしょになっていく。
くもの巣を払いつつ、どんどん上へと進んでいくと…。

キタキタキター!
藪の中に煉瓦造りの遺構を発見!
おそらく左翼観測所だと思われるのだが、藪がひどく周りの様子は全く分からない。

観測所に辿り着いたはよいが、ここからどこへ行くのにも躊躇するような激藪!!
意を決して砲台があるはずの方向へ向かい、藪に潜り込む。

方角も分からなくなるような藪の中をがさごそと進んで行くと、突然階段が現れた。
ただ、ここがどこなのか、全く分からん…。

写真でみると、それほど難なく進んで行けそうな藪であるが、実際は足場も悪く草木はびしょびしょで本当に大変。
こんな所で遭難するなんてありえないが、本当に方向感覚が無くなってくる。
しかも体が濡れて顔にはくもの巣が張り付いているし、だんだんとテンションが下がって来た。
せっかく登ってきたのに砲台が見られないのは悔しいが、下山することにした。

びしょ濡れになった体を乾かして、今度は走水洞窟陣地を探すことにした。
岸壁に沿って海沿いを歩いていく。
しかし藪がすごいため、壕口があっても見つけられない予感が…。

すると、木々の間からロープが垂れ下がっているのを発見!
これこそ壕口に向かうルートに違いない!

ロープに飛びつき、岩場を登っていく。
足場は非常に悪く、水分を含みつるつるだ。
ロープが無かったら登ることは難しそう。

ロープを伝い上部へ上がってみたが、どうも壕口が見つからない。
冷たい風が吹き出している穴はあるのだが、とても人間が出入り出来る隙間はなさそうだ。
木につかまりながら周辺を見渡すが、木々に遮られて全然分からん…。
このまま登って行こうかとも思ったのだが、先ほどの激藪漕ぎを思い出し、またまたテンションダウン。
ロープを伝い、下に下りることにした。
あまりのだめだめっぷりに今日はもう走水の探索終了。
鎌倉経由で帰宅するため三浦半島を横断し、長者ヶ崎へと向かった。

国道134号を気持ちよく走っていると、道沿いに旧軍の信管が見つかった旨の注意書きを見つけた。
『絶対に手を触れず』とわざわざ赤文字で書いてあるのに写真では信管を手に乗せている。
看板制作者のセンスを疑いながらも、とりあえず信管を探しに海岸へと降りてみることにした。

広い海岸に這いつくばり砂利を掘ってみるが、信管なんてぜんぜん見つかりそうも無い。

だいぶ海岸の端の方まで歩いてみたのだが、結局何も見つけることが出来なかった…。

しかし、信管に注意する旨の看板はいくつも立てられており、運のいい人は信管を見つけることが出来るのだろうか。

海岸を後にし、海沿いを走っていると、長者ヶ崎の先端に洞窟のような物を発見!!
しかもかなり大きそう。

早速岬へ向かうが、崩落が多いため立ち入り禁止となっていた。
近くにいたサーファーの方に、岬に行く方法は無いのか尋ねてみると、引き潮の時は崖下を歩いて先端まで行けると教えてもらった。

しかし今は潮が満ちているためここから向かうのは無理そう。
今度は反対側から攻めてみる事にした。

しかし、こちら側も同様に立ち入り禁止となっているようだ。

岸壁を覗き込んでみると、崖の下から先端に行けそうでもある。
引き潮の時なら、もう少し陸地も広がるだろう。
今日は時間も遅くなってきたし、やめておこう。

コーヒーで一服し、さて帰ろうと思いふと山肌を見ると、なんとも珍しい形のコンクリートで法面の補強工事をしていた。
その時、法面工事のすぐ上に、大きな穴が開いているのを発見してしまった。
あれって長者ヶ崎砲台?
見つけたからには見てこなくては。

工事はやっていないようだが、この斜面を登るのはあまりに丸見えである。
そこで人目につかないように、斜面の端の方をよじ登ることにした。
斜面は思っていたよりもずっと急で、何かをつかんでいないとずり落ちてしまいそうである。

もうここから降りるのは無理だな…。
ころがり落ちそうになる体を、なんとか保持しながら、ゆっくりと移動を続ける。
しかも、足場も非常に悪く、移動するたびに上へと上がるしかない。
いつの間にか、屋根を見下ろすほどの高さまで登っていた。
うわ、まじで落ちるかも…。
超、急だし。
そう思いつつふと山肌に目をやると、頭上からロープが垂れ下がっていた!
これぞ天の助け、神の恵み!
神様ありがとう!ラスカルに会わせてくれて!!

なんとかロープの所まで近づいた。
ロープが結ばれていなければもうだめかも…。

軽くロープを引いてみる。
うん、大丈夫そうだ。
一気に体重をかけ、下の足場へ下る。

なんとか板の後ろに降り立つことが出来た。
あー、一安心。

板と斜面の隙間を進んでいくと、大穴はすぐに現れた。
間違いない。長者ヶ崎砲台だ。

当時砲座だった場所には、太いボルトが残されていた。

砲室左手は、崩落か埋め戻しか分からないが、塞がっている。

左手奥は、小さな部屋となっていた。
しかし、物置として使われているのか、物がすごい…。

右手奥に入り口らしきものを発見!
早速物を掻き分け近づいてみると…。

こちらも部屋のようだった。

砲台からははるか遠くまで海が見える。
(写真では白飛びしているけど)

さて、帰り道であるが、先ほどのルートを辿るのは無理。
どうしようかと考えていると、工事現場の真ん中に、またロープが!!
こんなところを下っていたら超目立つけど、もう行っちゃえ!!

工事現場のド真ん中を下っていく。
どうか、通報されませんように!

なんか、一般人が入ってはいけないような雰囲気ではあるが、立ち入り禁止を入って来たわけではないので、まあいいか。

地上に戻ることが出来て一安心。
山肌を見上げると、先ほどと同型の法面補強が見えていた。
なるほど、自然との調和なのか?
それはそうと、上のほうに見えるフリーフレーム工法で施工してある場所はすごい。
よく、あんな所にコンクリートを流したものだ。
行ってみたくなるのは、俺だけじゃないよね?
長者ヶ崎周辺を調べてきました
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