この地下工場のある山から北へすこし行った山中に工作機械用の冷却用の水を貯めていたと思われる施設があるという。
そこはグラースの森といい、巨大なマンション群と東急車輌の工場に挟まれていた。

○をした部分に、何か構築されているのがお分かりだろうか。
周辺はすっかり開発が進み当時とはだいぶ地形も変わっているのであろうが、この貯水槽は運良く当時のまま残っている。

もう少し拡大してみると、はっきりと貯水槽を見ることが出来る。
4つの区画に区切られているためか、地元では『4つ池』と呼ばれているらしい。
GoogleMapでも、4つの池が描かれている。

と言うわけで、早速六浦にやってきた。
せっかく六浦に来たので、貯水槽に行く前に、近くにあるおいせ山にも登ることにした。
この山の地下には巨大地下工場が構築されている。
まだ情報不足のため潜ることは出来ないが、取り合えず周辺を見るためだ。
環状4号線沿いにある、六浦山上行寺から山道に入る。
お墓の中をどんどんと上っていく。

お墓を抜けると、本来の山道へ続く道へ出た。
舗装されているものの、ここを通るものはほとんどいなさそうだ。

すぐに舗装は途切れ、道は踏み跡へと変わった。
踏み跡に沿ってどんどんと登っていくと…。

高圧鉄塔に向かう登り跡を発見。
早速登ってみる。

登りきったところにある鉄塔はフェンスの設置が無く、全国の鉄塔マニアが鉄塔結界と呼ぶ、鉄塔の真下へ入ることが出来た。
写真を撮っていたら、鉄塔マニアではない俺も、なんだかありがたい気分になってきた。

鉄塔結界を満喫し、再び山道を進む。

おいせ山頂上の平場に辿りつくと、そこには波2本が掘られた海軍石柱が建っていた。

すぐ近くにも海軍の石柱が建っていたが、建てられた時期が違うのか、こちらは随分と朽ちている。

頂上の平場には建て物の基礎部分が残っていた。
品質の悪いコンクリートの基礎で、かなり古いものだとは思うのだが、海軍が構築したものかは分からない。
横浜市大の裏手まで行こうかとも思ったのだが、ここまで来る行程で、情報無しで斜面を下ることは困難と判断したため、素直に下山することにした。

おいせ山から下山し、環状4号線沿いのCoopの裏に怪しい崖を見つけた。

近づいてみると、侵入出来ないように塞いである。

覗きこんでみると、いかにも怪しそうな雰囲気。
穴ありそう…。

反対側に回ってみたが、店舗が営業中であり、侵入は出来無そうな感じ。
仕方ないのでこの崖の裏側に回ってみた。

完全に民家の敷地のようだが、裏側には巨大な坑口が開いていた。
だいぶ崩落が進み危険な状態のようだが、中はどうなっているのだろう。
侵入したかったのだが、通りからの視線もあるし民家の敷地内だし、今回は見送ることにして今回の目的地、貯水槽のあるグラースの森へと向かった。

チャリを漕ぎ、グラースの森へとたどり着いた。
入り口はいきなり階段となっている。

すっかり日焼けした案内板には、リスとカブトムシが描かれている。
こどもたちも楽しそうに遊んでいる。
なんだか非常にさわやかな雰囲気である。
なんだかわくわくしてきたぞ。
チャリで行こうか歩いて行こうか迷ったが、とってもぬるい雰囲気のグラースの森。
たいした道では無いだろうとチャリで侵入することにした。

チャリを担いで階段をどんどんと上がっていく。
通行人がこっちを見ているようだが気にしない。
待ってろよ、リスたんかぶとたん。

階段を上がりきると、両側をフェンスに囲まれた尾根道へと出た。
ちょっと思っていたのと雰囲気が違うようだが、かまわずどんどんと先へと進んでいく。

しばらく進んでいくと、突然行く手を阻むフェンスが現われた。
なにか書いてあったようだが文字を読むことは出来ない。
鍵はかかっていないようなので、そのまま入ってみる。

フェンスの裏には開放厳禁の文字と、関係者以外立ち入り禁止の注意書きが。
つーか、グラースの森はどこ?
リスたんはどこ?
しかも、おれ、立ち入り禁止から出てきてるし…。
入り口からずっと両側をフェンスで囲まれている尾根道を走ってきたため、道を間違えたと言うことはありえない。

フェンスを通り過ぎても同じような道が続いている。

しかし道はだんだんと険しくなってきた。

しかも、フェンスが傾いちゃってるよ。
もはや、こどもが楽しむような雰囲気では無くなってるし…。

ここを訪れる人もほとんどいないのであろう。
場所によっては酷い藪となっている。

そろそろ貯水槽のあたりに来たので、適当な斜面を降りてみる。
先日購入したロープが大活躍だ。
お、見えてきた見えてきた。

貯水槽のそばまでたどり着いたのだが、貯水槽は二重のフェンスで囲まれていた。
しかも周りは荒れ放題で視界もとても悪い。

てことで、内部へ侵入。
きれいに構築された貯水槽にうっとり…。

しかし、すぐ横を見ると崖崩れによりなぎ倒されたフェンスに落ち葉が堆積し、非常に危険な状態。
この上をあるいたら、貯水槽にまっさかさま!!

山肌に沿って奥へと進んでいく。
崖から落ちてきたと思われる巨大な岩が貯水槽に乗っかっていた。
よし、あの岩までは行けそうだ。

貯水槽自体は昭和になってから作られたものと思われるが、損傷はほとんど無くまだまだ利用できそうな状態であった。
こんな山奥に眠らせておくのはもったいないな。

一歩一歩ゆっくりと歩を進め、岩の前までたどり着いた。

無理すれば岩を超えられそうにも思ったが、岩もろとも貯水槽に転落するのも嫌なので、ここにて退散。

後ろを振り返ると、切立った崖である。
この岩もあそこから落ちてきたものであろう。

落とし穴に落ちないように山肌から戻っていく。
足が滑ったら大変だ…。

尾根道へと戻り、先へと進んでいくと、ついに尾根道は藪へと飲み込まれた。
チャリのハンドルが藪に引っかかって、もう、どうにも進めない。
仕方ないので今来た道を戻ることにした。

階段は、上るよりも下るほうが大変だ。
なんかチャリを放り出したくなってきた…。

大汗かいて、グラースの森入り口まで戻ってきた。
グラースの森などという名前が掲げられているにもかかわらず、実情は廃尾根道に近いものであった。
おそらく鉄塔管理者以外、あまり行く人はいないのではないだろうか。

グラースの森のすぐ横には巨大なマンション群が立ち並んでいる。
全くの想像ではあるが、マンションの分譲の際、
「すぐそばにこんなに自然がありますよ、自然の中で遊べますよ、グラースの森って言うんですよ」
と、言葉巧みに購入者を煽っていたのかもしれない。

車を停めた六浦駅近くのコインパーキングに戻りGPSを見てみたら、なんだか超正確!
思わず写真を撮ってしまった。

いや、普段からそれほどのズレは無いのだが、駐車位置までぴったりだったので、ね。
- 関連記事
-
-
足尾銅山の周辺遺構を見に行ってみた 2022/07/18
-
[戦跡] 遊泉寺地下工場探索 ~前編 2021/11/24
-
[戦跡] 山梨県の七里岩地下壕に潜ってきた 2022/09/05
-
[戦跡] 走水洞窟陣地 2009/05/27
-
[戦跡] 三戸南洞窟陣地 2009/02/12
-
国道8号線、親不知と子不知の旧道探索行ってきた~後編 2016/05/24
-
石川県にある此ノ木隧道を見に行ってみた 2022/06/13
-