今回は、全国戦争遺跡調査研究会の面々と、横須賀海軍工廠船越造兵部船越地下軍需工場へと潜入してきた。

船越のガントリークレーンにやってきた。
大正14年の関東大震災以前に建てられたというこのクレーンは、現在でも海上自衛隊横須賀造修所が使用している。
もちろん補修はしているのだろうが、とてもきれいな状態を保っていた。
しかし写真を撮っていたら突然の雨…。
天気予報ではそれほど酷い雨にはならないと言うことであったが、けっこう本格的に降って来た。

ガントリークレーンの下にも引き込み線跡が残っていた。
既に地図からは消されているようだが、この支線も田浦駅から伸びていたのだろう。

ガントリークレーン内部を覗いてみると大きさに圧倒される。

そうこうしているうちに、全国戦争遺跡調査研究会の面々と合流し、船越地下軍需工場の壕口へと向かう。
壕口はまるで工事現場のようになっていた。
何かに転用しようとしているのだろうが、残念なことである。

壕内に入っていくと、パイロンが立っていたりしてトンネル工事の現場のようだ。
もちろん、電気などは一切点灯していないので懐中電灯の明かりだけでの探索なのだが、手の入っていない地下壕とは雰囲気が全く違っていた。

奥へ進んでいくと激しく水没。
深さは 20cm位のようだが、梅雨時期と言うこともあり豪快に溜まっている。

今回はばっちり水没対策をしてきたので構わずにどんどんと進んで行く。

しかし、いろいろな所へ工事用のパイプやケーブルが通されていて、ちょっと萎える(´・ω・`)

yakumoさんに続き、ジャブジャブと坑道を進んで行く。
なんでも、この奥には地下壕としては大変珍しい、壕内トイレが構築されているという。

水没対策万全なのを良いことに、一人で奥へとどんどん進んでみる。
だけど、この辺りの水没は半端じゃないな・・・。

水位は既に膝下くらいまで来ている。
けどなんだか気分が乗ってきたぞ ( ・ω・)

水遊びばかりしている場合じゃないので、そろそろトイレへと向かう。
ここがトイレの入り口らしいが、なんだかすごく丁寧に作られている。
数段の階段を上り、右手へと目を向けると…。

すげーっ!
すげーすげーすげー!!!
なんだかもう、とにかくすごいよ、これは!!
地下壕の内部にトイレと言うだけでもすごいのに、この作りはなに?
もう、職人魂ここに見たりという感じですよ。
ちなみに、逆光で写真に写ってるのは yakumoさん。
当時の兵隊さんの霊かと思ってびっくりしたけど、よく見たら yakumoさんだった


ちなみにトイレの中には、当時の物と思われる防毒マスクが沈んでいた。

トイレの完成度に感激しながらも、更に一階部分を回ってみるが、残念なことにかなりの坑道が埋められていた。
上方 1m以上は開いているので進むことは出来るが、残念である。

続いて2階部分へと進んで行く。

ちょっと登ってふり返ってみると、非常にきれいに構築されているのが分かる。

ちなみに、2階へと登る階段の天井部分に穴が開いている箇所がある。

その穴の部分を上から見たのがこの写真。
おそらく計測ミスによる物だと思うが、掘削途中にこの穴をブチ抜いちゃった人はびっくりしただろうな。
これ以上穴が広がらないようにするために、2階部分の廊下の一部が上げ底になっているという珍しい構造だ。

2階部分の坑道は、高さや幅こそ 2m程度はあるものの、崩落がひどい状態だ。
天井部分から剥がれ落ちたと思われる巨大な岩が転がっている。

2階部分から、更に階段を上がっていくと、監視所が残っているらしい。
しかしこの階段、なんだかぐずぐずになっている。
大丈夫かな…。
しかし、この先はもっと凄かった(`・ω・´)

崩落したのか埋め戻しされたのかは分からないが、階段の上には巨大な石がごろごろしている。
ほとんど四つん這いになりながら登っていく。
背中も頭も既に泥んこだ…。

一人がやっと通り抜けられる程の小さな壕口から這い出る。
外は6月の雨が降り続いていた。

ふと見ると、yakumoさんがどんどんと山肌を登っていく。
こんな斜面登れるのか!?と思ったが、木の根がたくさんあり思ったよりは登りやすい。
しかし雨でぬかっているため、つるつる滑るしツタは絡まるし大変だった。

尾根に辿り着くとそこには監視所が残っていた。

監視所の中に入ってみる。
コンクリートの中には鉄筋が見えており、非常に頑丈そうだ。

奥へと進むと銃眼が構築されていた。
薮に埋もれており外を望むことは出来ないが、国道方向かな?

監視所から出て、尾根から下を見ると、思っていた以上に高いところまで登っているようだ。
この付近には海軍の石柱が3本建っていた。

斜面を降り、先ほど這い出た壕口へと戻っていく。
木の根に掴まりながらゆっくりと降りていくが、登るよりも難しい…。
またあの壕口を抜けるのかー…、とも思ったが、泥んこだしずぶ濡れだし、正直もうどうでもいいや( ^ω^)

壕内をうろうろしながら入り口へと戻っていく。
資料によるとこの壕は延長 2200mもあり、とても広い。
しかも、碁盤の目の構造ではなくとても複雑な作りをしている。
今回は詳しいメンバーが大勢いるため不安はないが、一人で入ったら壕内図があっても迷いそうだ。
参考 : 壕内図

入り口付近は補強のためかコンクリートを吹き付けてあるのだが、そのコンクリートが、工事用のガードパイプ上に落下していた。
コンクリートの吹きつけ自体が古いためか、梅雨時期なので雨水がしみ出て剥がれ落ちたのかは分からないが、どう見ても最近落ちた物のようだ。
こんなのが頭に落ちてきたら嫌だなぁ。

雨は全く止む気配はなかったが、続いて比与宇地下壕に潜ることとなった。
次回、トンネル北側比与宇地下壕 と、トンネル南側比与宇地下壕 へと続きます。
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