比与宇地下壕は、トンネルの北側と南側に掘削されており、まずは比較的小規模な北側から潜ることにした。

山に分け入ると、すぐに壕口が姿を現した。
とある工場の敷地内から入っていくため、不法投棄のゴミも無くきれいな状態だ。

地質はここも砂岩であるようだが、多少の崩落のみで内部もとてもきれいな状態だ。

薬瓶のようなものが落ちていたが、当時の物であろうか。

本坑を奥へ進むと、だんだんと崩落が激しくなってきた。
この奥に見えている穴を更に進むと、行き止まりとなっていた。

本坑から南側に少し下ると、かなり入り組んだ坑道が掘削されている。

同じ山に掘削されている壕であるが、本坑とは地質が違い、随分と硬い岩のようになってきた。

出入り口がたくさん設けられているようだが、どの壕口も土嚢を積んで塞がれている。
外の様子は分からないが、きっと壕口が目立つ場所にあるのだろう。

この坑道は今まさに掘削途中と言った感じである。
上半分のみ掘り進み、下側が残されている。
ベンチカット工法の教材のような状態だ。
坑夫が人海戦術で掘っていたイメージが強い地下壕であるが、工法を駆使して計画的に掘っていた所もあるのだと思うと、非常に興味深い。

ここは棲息部か資材置き場かな?
すごくきれいに掘削されていた。
斜めに走る地層が美しい!

一通り壕内を周り、壕口から外へ出る。
いよいよ次は、こないだ途中で戻った南側の比与宇地下壕の最深部だ!

南側の壕口へ移動し、早速潜入開始。
先日と同様に、不法投棄された大量のゴミが足場を悪くする。

壕内には何カ所か大量の海軍食器が散らばっているところがある。
話によると、その手のマニア(業者?)が発掘しに来てここで選別していった跡だという。
どおりで、欠けた皿が多いわけだ。
しかし、この壕の食器は全て陶器製だ。
金縁の高級そうな皿もある。
かなり偉い人もここにいたのかな?

最深部付近を探索開始。
相変わらずこの辺りは崩落がすごい。
しかも、坑道が複雑に入り組んでいる。

この坑道は外へ抜けているようだが、土嚢で塞がれている。

崩落の激しい坑道を更に奥へと進んでいく。

崩落が激しすぎて、天井に頭がつきそうだ。
崩落した岩と天井の間を這いつくばるように進む。

頑張って進んで行ったのだが、最後は掘削途中のようで、閉塞していた。

別の坑道を進むと、外の明かりが見えてきた。
壕内には積まれた一斗缶が見える。

柵があるようだが、誰かが利用しているのだろうか。

付近には、倉庫にでも使用していたのだろうか、大きな煉瓦巻きの坑道がある。

当時は外と出入り出来たようだが、現在はしっかりと塞がれていた。

再び崩落の激しい壕内へと戻っていく。

複雑に入り組んだ坑道には、随所で高さの合っていない接続点があった。
この部分を向こう側から見ると…。

このように段差がついている。
段差は 1.5mほどはあるのではないか。

この辺りには、昭和中期のものと思われる酒瓶が大量に投棄されていた。
また、真空管式のラジオや、ブラウン管がやけに丸い真空管式のテレビなどもあった。

yakumoさんが、「この穴を登っていくとびっくりするよ!」と言うので、入ってみた。
中腰でも頭がぶつかりそうな狭い坑道。
幅もないため、肩もすりそう。
しかもかなりの上り坂を、ひざを抱えて登っていく。
あまりに狭くて、戻れるのか不安になってきた。
何度か折れ曲がり、上へ上へと結構な距離を登っていくと……!

うわ!行き止まりかよ!!
その場でなんとか体を転回させる。
確かにこれはびっくりするわ。

下りは、まるで滑り台をすべるように、ずるずると下って行った。
一人だったら、ここには入って行かなかったろうな(笑)

民間の物ではないと思われる、陶器製の壺が転がっている。

この部屋は司令室であろうか。
丁寧に作りこまれている。

各々がいろいろな場所で探索を行なっているため、壕内の各所で懐中電灯が点灯しており、いつも一人で潜入している俺には、非常に安心感があった。

ほとんどの坑道を探索したので、そろそろ戻り始める。

侵入した壕口と違う開口部があるというので、そこへ向かい坑道を進んでいく。

この坑道も崩落が非常に激しく、洞床が瓦礫の山になっている。
瓦礫の山をいくつも越え、やっと壕口の明かりが見えてきた。
冷え切っていた壕内がだんだんと暖かくなってきた。

外は相変わらずのどしゃ降り。
しかも温度差が壕内と屋外でかなりあるので、カメラのレンズが曇りまくる。

しかし、梅雨時期の木々は雨に打たれ、本当に元気そう。
探索を終えた我々は、その後六浦のファミレスに移動し、戦跡談義をして解散となった。
- 関連記事
-
-
[戦跡] 三浦半島の地下壕をいろいろと回ってきた~前編 2018/01/12
-
[戦跡] 長者ヶ崎砲台を見に行ってみた 2022/06/03
-
【 OFF 】 貝山地下壕上部壕探索 【 告知 】 2009/09/16
-
[戦跡] 下田プリンスホテルの下の銃眼を見に行ってきた 2021/04/12
-
[探険] 津市半田地区磨洞温泉調査2014 - 前編 2014/01/28
-
世界一神社を見に行ってきた 2016/09/26
-
[戦跡] 六浦地下軍需工場再訪 2018/05/09
-