探索メンバーより、埼玉県の吉見にある吉松地下軍需工場の柵が壊されていたという LINE が来た。
この地下工場は、戦時中に中島飛行機の分工場として掘削されたものだ。

Googleのストリートビューを見てみると、確かに柵の単管パイプがずらされている。
というか、履歴を見ると数年前からこの状態のようだ。
という訳で yakumo氏を誘い、今から早速見に行ってみる事に。

yakumo氏を迎え首都高を走り、現地へと向かう。
元日の夕方だからか、道はガラガラだ。

横浜から2時間。
あっという間に現地へと到着。

この地下壕はかなりの部分が水没しているというので、ウェーダーを装備する。

地下軍需工場の壕口にある柵は確かにずらされていた。
しかし、思いのほか狭い。
体をよじりながらなんとか内部へと進入。

壕口から20m程度進むと、早くも水没区間が。
ウェーダーを装備しているので、じゃぶじゃぶと進んでいく。

壕口に近いせいか、壕床には土砂が堆積しており、足が泥に沈む。
水深は膝上位だが、ゆっくり進んでいかないと、土砂に足を取られる。

この地下壕の総延長は 1100m程度という事なので、最深部まで全ての坑道を回ってみる事に。
まずは一つ目の分岐を左手へと進む事に。

左手の坑道へと進んでいくと、そこは2段掘りの途中と言った感じの空間が。
相変わらず泥濘に足を取られ、進むのも大変だ。

澄んでいた水も、歩を進めていくとたちまち濁っていく。

どんどん奥へと進んでいくが、水没ばかりなので足元を見ることが出来ず、残留物は見つからない。

やっと水没区間を抜けたかと思うと・・・。

すぐにまた水没。

この繰り返しが続く。

戦時中に中島飛行機の地下軍需工場として掘削されたので、このように直線の坑道が多い。

主坑から伸びる枝坑は奥が埋め戻されていたりしており、閉塞している個所ばかりだ。

外部への開口部からかなり奥まで来たので、壕床の土砂もなくなり歩きやすくなってきた。

壁面に何やら文字のようなものが。
ハングル文字のようにも見えるが、どうなんだろ。

長い水没区間をじゃぶじゃぶと歩いていくと・・・。

ちょっと段が高くなって水没が無くなった。
yakumo氏が、壁面にロッド穴が開いていると言っている。

ロッドが刺さっていたような穴にストックを差し込んでみる。
40cm程度奥まで刺さっていたようだ。

この坑道は掘削途中ぽいな。
先ほどまでとは違い、ガレがひどい。

また横穴が出てきたので、そちらの方に進んでみる。

最奥部はこのような形で閉塞していた。
下側の穴は見えにくいが、四隅に穴が開けられている。
推測だが、このように基準点を設けながら掘り進めていったのではないかと思う。

と言うのも、坑道の途中の壁面には掘削の向きを調整していったとみられる穴が多数見受けられたのだ。

枝坑は閉塞していたので、先ほどのガレた坑道まで戻り進んでいく。

すると何やら広い空間が!?

何のためにここまで広くしたのかは分からないが、坑道の接続部が広くなっている。

その奥には土砂が積まれているようだが抜けられるのかな??

どうやら隙間があり、まだ奥へと進めそうだ。

そして、その1本隣の坑道の水没部分からは、なんとレールが飛び出していた。

崩落した土砂に押されてこのような状態になっているようだ。

恐らく掘削当時にずり出し用のトロッコに使用されていたものだろう。

レールのあった空間を抜け、再び水没区間をじゃぶじゃぶと進んでいく。

水没が浅くなってくると、壕床にあるトロッコの枕木跡が現れた。

水がすべて引けば、この辺りの壕床にもトロッコ跡が残されているのかもしれない。

進んでいくと、やけに高く掘削された坑道が。

そして、その先の水没区間を抜けると・・・。

壕床に敷かれたコンクリートが。

この先は埋め戻されているが、戦後しばらくは開口していたようなので、戦後、地下壕の再利用の際に敷設されたものかもしれない。

開口していたころの物だろうか。
壕床には多数の運動靴の足跡が。

現在は埋め戻されて外部には抜けられそうも無いのだが、空気の流れを若干感じるので、小動物などは出入りが出来るのかもしれない。

開口していた付近なので、壁面への落書きも残されていた。

『R.K~』 とか、『奈良』の文字が読み取れる。

全ての坑道をくまなく進んできたが、そろそろ最後のエリアとなった。

頭をぶつけそうなくらいに低い天井の接続坑を進んでいく。

岩盤の地質が先ほどとはちょっと変わってきた。

そして、その先に見えてきたのは・・・・。
中島飛行機吉松地下軍需工場に潜って来た~岩窟ホテル編
へと続きます
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