前回の訪問より実に13年ぶりである。

今回のメンバーは、いつもの yakumo氏に加え、静岡の空母欲奈氏、地元メンバーのあきひさ氏である。
某日早朝、長者ヶ崎の駐車場に集合した。
車の向こう側に写っている山の中に、数々の遺構が眠っているのだ。

まずは頂上付近まで山を登り、斜面を下りながら関連施設を探していく。

斜面をずるずると降りていくと、トーチカのような物が現れた。

入り口部分よりコンクリートで固められ、しっかりと作られているようだ。
早速内部を見に行ってみる。

通路右手が少し拡張され広くなっている。
表面のコンクリートは経年劣化で剥がれ落ちているが、そのおかげで内部にしっかりとした鉄筋が入っていることを確認することが出来る。

最深部は崩落しているのか土砂が流入しており、その先を見ることは出来なかった。

この付近に、コンクリート製の監視壕があるはずなので、ここを出て探しに行くことに。

この時期の割りには草木が茂っており、なかなか見つからない。

20分ほど周辺をガサゴソしていると、藪の奥に監視壕を発見。

開口した隙間より、内部をのぞき込んでみる。

無理すれば入れそうという事で、空母氏とあきひさ氏が内部へと潜入。
内部は部屋状になっており、部屋の床に開いた開口部から更に下部にある部屋へと下れるようだ。
と言っても、当時あっただろうハシゴは外されており、下部に降りたら上がるのは不可能だ。
そこで、ロープを使用し、あきひさ氏が下部に降りることに。

下部を見て回った結果、付近に通気口のような穴が開いていることを確認した。
煙突を横にしたような狭い空間だが、狭い入り口部分さえ何とかなれば、匍匐前進にて内部に入ることが出来そうだ。

内部に頭を突っ込んでみる。
高さは50cm程度か。
しかし、入り口付近が土砂で埋まり、超えることが出来ない。

そんな中、あきひさ氏が入り口付近の土砂をどんどん掻き出してくれた。

なんとか体が通り抜けられるようになったので、10m程の狭い通気口を匍匐前進して進入。
通気口のような通りより抜け出し、内部の部屋に辿り着いた。
正面に写っているのが這い出てきた通気口。
右手には隣の部屋に続く開口部がある。
この部屋の大きさはおよそ、2m×3m程度か。
今度は隣の部屋に行ってみる。

隣りにある部屋は、最初の部屋と同様の作りだが少し広く、3m四方程度の物だった。
こちらもコンクリートによりしっかりと作られている。
奥には更に別の部屋があるようだ。
しかしコンクリートの崩落は全くないのに、床には結構な量の瓦礫が散乱している。
これらは一体どこから流入したのだろう。

3つ目の部屋へとやってきた。
部屋の広さは2つ目の部屋と同様に3m四方くらいか。
正面には、少し小さめの通気口が。

位置としては、入って来た通気口と180度逆の方向へと伸びている。
奥は、崩落してしまっているようだ。

右手にまた部屋があるので行ってみる。

進入してきた1つ目の部屋の後ろに位置する4番目の部屋だが、こちらは1つ目の部屋と同様に、2m×3m程度。
部屋の奥にはかなりの量の土砂が流入している。

堆積した土砂の上に立ち、上部を見上げてみる。
土砂の真上は、上部の部屋に続いていた。
先ほどあきひさ氏が上部から降りた場所だ。
上部の部屋の天井部分は丸く作られているようだ。

土砂の上から部屋全体を見てみる。
奥にあるのはこれも通気口なのか!?

通気口のような開口部の中を覗いてみる。
進入してきた通気口とサイズ的には同じくらいか。
奥は崩落してしまっているようだ。

内部に入って調べた結果、地階部分には4つの部屋が存在することが分かった。
コンクリートの壁には、一定間隔で木が埋め込まれている。
棚のような物を取り付けていたのかもしれない。

3つ目の部屋全景。
広角レンズのため広く感じるが、実際はもう少し圧迫感を感じる。

二つ目の部屋から、一つ目の部屋の接続部を見る。
右手に写っているのも通気口か。
でもこの通気口、下部に切り欠きがある。
というか、通気口、通気口と書いてきたが、部屋ごとに各方向に通気口が必要だとは思えない。
これらは何らかの物資を出し入れする運搬路だったのかもしれない。

中をのぞき込んでみると、激しく圧壊しているようだ。
でも、運搬路だとすると、この狭さだと運べるものは限られちゃうような気も・・・。

ちなみに先ほどは触れなかったが、2番目の部屋に本来の出入り口がある。
すぐ隣にある通気口内部が圧壊していることからも、この面にはかなり強い力が加わっているのだと思う。

という事で、一通り内部を見て回ったのでそろそろここを出る事に。

一人ずつ匍匐前進しながら、開口部へと戻っていく。

外に出た後、この施設の本来の出入り口を探してみたが、完全に斜面の土砂に埋まっているようだった。

今度は長者ヶ崎砲台に向かい、斜面を移動していく。

GPSを頼りに草木に掴まりながら進んでいくと・・・。

やがて藪の奥にコンクリートの施設が現れた。

床には砲を固定していたボルトが円形に並んでいる。

砲室内部はいろいろなものが散らばっているが、コンクリートの崩落も無くきれいな状態だ。

しかし、右翼側の部屋には土砂が流入している。

という事で、今回久しぶりに長者ヶ崎砲台へ訪問したが、かなり満足のいく探索となった。
この周辺にも以前訪問した以来訪れていない遺構がたくさんあるので、今後はその遺構へも行ってみたいと思う。
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