その旭隧道はおよそ 760メートルであったが、現役ではないが、もっと長い素掘り隧道が同じ新潟県内に存在するというので、早速潜りに行ってみることに・・・。

その隧道は中山隧道。
国道291号にある中山トンネルの旧トンネルだ。
延長は 877mという事だが、現在は一体どのような状態になっているのだろう。

これが中山トンネルだ。
トンネル手前の広いスペースに車を停める。

とりあえず、空からちょっと偵察をしてみる事に・・・。

空撮してみると、旧トンネルの坑口がはっきりと見えていた。
そして、その坑口に至る道の線形がすごいことになっていた。
と言っても、新トンネルが出来る前は、トンネルから真っすぐに現道の近くにあったと思われる旧道に降りてきていたのではないかと思う。
どちらにしても、旧トンネルの坑口へのアクセスは簡単そうだ。

旧トンネルである、中山隧道の坑口にカメラを向けると、どうやら通行止めになっている様子。
ま、現役では無いと聞いていたので、当然だろう。

旧トンネルに向かい、斜面を登って行く。

先ほど上空から確認したヘアピンカーブを超え、少し上って振り返ってみる。
工事用の道路の名残かなとも思ったが、コンクリートの駒留が設置されている。
もしかしたら、新トンネル建設中は旧道はこの道に迂回していたのかも知れない。

やがて、坑口が見えてきた。
しかし、廃道化している割には路盤もきれいだし草も刈られているような・・・。

坑口前までやってきた。
坑門はコンクリート製の変な意匠だが、後年に作られた物だろう。
内部には倒れた看板や、廃材のようなものが散らばっている。
幅は2m無いくらいか。
普通車で通り抜けるのはちょっと難しそうな感じだ。

内部を覗いてみると、なんと壁面に説明書きが設置されている。
どうやら旧トンネルである中山隧道を徒歩道トンネルとして開放していた時期があるようだ。
だから、変な坑門が設置されていたのか!
そして、頭上の支保工の上には大量の土嚢が。
これは一体、どういう状態なんだ!?

説明版の奥には、照明用のスイッチが。
向こう側の坑口にも同じものがあるので、通り抜けたら消してくれみたいなことが書かれているが、しばらく遅れて後ろからもう一人来ていたら、その人はトンネルの中で電気を消されてしまう可能性もあるのでは!?
と、思ってしまった。

じゃ、とりあえず行けるところまで行ってみましょ。

坑口付近には水が溜まっていたが、水深はほとんど無い。

そして、水たまり区間を超えると、足元はちょっと湿った土へと変わった。
素掘りの隧道と聞いていたのだが、コンクリートの巻き立てが。
これも、おそらく徒歩道として整備されていた時の物だろう。
奥に何やらブルーシートが見えている。

近づいてみると、どうやら坑内の地質調査をしている様子。
廃棄された物では無さそうなので、手を触れずに奥へと進んでいく。

やがてコンクリートの巻き立ては無くなり、素掘り区間へと入る。

頭上にはたくさんの蝙蝠が。
壁面はコンクリートの吹付により固められている。

天井部分は観音堀りのような形になっている。
天井までの高さは3m程度ありそうだ。

その先には、鉄筋で組まれた支保工が。
見上げると、天井部分はガレている。
徒歩道だった時代に崩落から守るために設置されたものなのだろう。
早くも向こう側の坑口の光が見えてきた。
これは、貫通は間違いないな。

どんどん奥へと進んでいくと・・・。

天井に掛けられた、貫通点のプレートが。
変なねじれやズレもなく素晴らしい貫通点だ。

たまに出てくる離合スペース。
離合と言っても、普通乗用車同士の離合は困難を極めそうな感じだ。

その先へと進んでいくと、再び支保工が組まれた箇所が。

支保工がある区間を通り過ぎると、プレートがぶら下がっていた。
振り返って撮影する。
どうやらこの場所で大量の出水が発生したようだ。

またまた出てきた離合スペース。

そして、その先に見えている反対側の坑口だが、何か様子がおかしい。

誰かがこちらを照らしている!?
同業者か!?

恐る恐る近づいていくと、なんとその正体はサーチライトだった。
向こう側は公開されているようで、内部を照らすライトだったのだ。
ま、誰もいないようだし、そのまま進んでしまおう。
ちなみに横穴か!と思ったこの凹みは、ただの凹みだった。

柵の脇をすり抜け、振り返って撮影。

そして柵のすぐ脇にはちょっとした横穴が掘られており、中山隧道保存会の提灯と、ズリ出しに使ったトロッコ (?) が。

坑口付近から、今来た方向を振り返る。

そして、こちらが坑口方向。
この区間が公開されているようだ。

坑口脇には土木遺産の認定プレートが。

そして、坑口から外に出ると、反対側と同じ意匠の坑門が。

しかも、隧道の目の前には観光バスも停められそうな大きな駐車場が。
トンネルマニアは結構な人数がいると思うが、こんなに大きい駐車場が用意されていたのにはびっくりした。
ま、中山隧道用の駐車場では無いのかもしれないけどね。

戻りはすぐ隣に掘られている、中山トンネルを抜けて行くことに。
坑口部分は山肌からちょっと飛び出しているようで、とても重厚感がある意匠となっている。

コンクリートの巻き立ての厚みはトンネル本体部分に入ると 35cmに。

反対側の坑口付近は緩いカーブとなっているのだが、こうやって見ると一直線のトンネルに見える。

側面の凹みに設置された、副制御装置。

その先から反対側の坑口付近までのコンクリート厚は 30cmに。

コンクリートで巻き立てられたトンネルは無機質で、横穴があるわけでもなく面白味は全くない。

出てくるイベントといえば、たまに現れる非常電話くらいだ。

ちなみに、写真はライトを当てているためかなり明るく写っているが、実際にはトンネルの真ん中あたりは照明もなく、懐中電灯無しで歩くのはちょっと危険な感じだ。
そもそも、このトンネルを徒歩で抜ける人はほとんどいないのではないか!?

やっと坑口が近づいてきた。

こちら側にも制御盤が。

旧トンネルから新トンネルと、ぐるっと回ってきた。

しかし、このトンネルが掘られる前は旧トンネルが国道だったのだからびっくりだ。

という事で、探索というよりは、歩いて抜けてきただけのレポとなってしまったが、なかなか趣のある新・旧トンネルであった。

帰り道はいつも通り、国道17号を南下して帰ることに。

国道17号の浦佐バイパスに掘られたトンネルもいつの間にか開通していた。
バイパス自体はまだ完成していないが、全線開通した暁には国道の導線はバイパス方面に切り替えられるだろう。

時間が早かった事もあり、以前からじっくり見てみたかった苗場スキー場前にある古いネオン看板に立ち寄ってみた。

制御盤の蓋が外れ、内部が丸見えになっている。
なんと、ネオン管の周囲にある電球の点滅制御は、交流モーターを回し物理的に接点を動かす構造だ。

現在ではIC制御が当たり前だが、モーターでドラムを回しゴリゴリと動いていた姿を想像したらちょっと興奮してしまった。←

最近はこのような看板がめっきり減ってしまったが、昭和感満載の素晴らしい看板だ。

最後に寄ったのは、3月に開通した新三国トンネル。
つい先日も寄ったばかりなので特に変わりはなさそうだが・・・。

旧トンネルはまだそのままの状態で何も手が付けられていないようだ。

向こう側の坑口の光も見えている。
毎日たくさんの車が行き交っていたトンネルの内部は静寂に包まれている。

これらの機器類も、いずれは撤去されてしまうのだろう。

という事で、トンネルを見て回ってきた今回のレポだったが、この三国トンネルも、今後も様子を見に来ようと思っている。
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