以前、夏島戦跡遺構調査~プロローグで紹介したが、外部探索と2層目部分の内部探索は行なった物の、1層目については未踏であった。
今回、yakumo氏と、いの氏と共に、夏島の 1層目全ての壕に潜入してきた。

夏島の1層目には、今のところ 4つの壕が発見されている。
便宜上、『大きな棲息部を持つA壕』、『飛行機格納庫だったB壕』、『発電所跡と思われるC壕』、『居住区だったかも知れないD壕』に分けさせて頂いた。
どの壕の壕口も非常に狭く、内部には場所によって非常に危険な箇所もあるため、外から丸見えの箇所を除いて、壕口の写真公開は控えさせて頂きたいと思う。

まずは大きな棲息部を持つ A壕に潜入した。

大人一人がやっと通り抜けられる穴をくぐり抜けると、大きな棲息部が現れた。
一見、棲息部のみの壕にも見えるが、一番奥へと進んで行くと…。

小さな通路を発見。
この奥は、何本かの枝坑に分かれており、当時は外へと接続されていたようだが、現在は全て埋め戻しされていた。

洞床には、コールタールのような物が染み出ていた。
正直、触りたくない…。
この壕はとても単純な構造であり、延長もそれほど無い為、あっという間にぐるっと回ってしまった。

壕口付近にある檻のような構造物。
当時からドアは無かったのだろうか。
蝶番が付いていた跡は見受けられなかった。

続いて、飛行機格納庫だったB壕に入っていく。

かなり狭い隙間をずるずると進むと、格納庫らしき広い空間に出た。
すぐ近くに掘られている枝坑には、ドラム缶が放置されていた。

戦後、埋め戻しをしたらしく、飛行機格納庫部分の洞床には、大量の土砂が積まれていた。
壕口付近にはブルドーザーのキャタピラの跡がたくさん残っていた。

土砂の上によじ登って懐中電灯で奥を照らしてみると、ずっと先まで土砂が積まれているようだ。
天井には碍子が打ってあり、電線が垂れ下がっていた。

格納庫からの枝坑に寄り道しながら、どんどんと奥へと進んでいく。

積まれている土砂は、踏み固められていないため非常に脆く、足を踏み外すと水没区間に足を突っ込みそうだ。
また、洞床から 5m程度ある天井付くまで土砂が積まれている部分もあるため、足下だけでなく頭上にも気をつけないと…。

比較対象物が写っていないので分かりにくいが、高さこそ5mそこそこであるが、ちょっとした体育館ほどの大きさがある。
中央部分は大きく水没していたため、右端の土砂の上を乗り越えながら奥へと進んでいく。

壕内図で言うと、A壕の上に描かれた、格子状の区間入り口である。
いつごろの時代の物かは分からないが、たくさんの土管が放置されていた。

当時の物であろう、ガラス瓶が2本並べられていた。

また、壕内で見つけたらしい、鉄製の海軍食器や電灯の笠などが一箇所に集められていた。

坑道の作りは非常にきれいで、ちゃんと図面に沿って構築された事を感じさせる。

かまどを発見!
排煙のための彫り込みが作られている。

ここにはおそらく部屋がはめ込まれていたのではないか?

大八車の物であろうか、車輪を発見した。
奥にももうひとつ車輪があったので、おそらくこの場所に放置されたまま朽ち果てたのだろう。

米軍の接収後、壕内に設置されていたのだろうか、NO PARKING の看板がこんなところに!!

しかし広い空間だ。

またまた格納庫部分からの枝坑を発見!
だけど、奥の方は超水没だった。
しかも、水の上にオイルのような物が浮いており、危ない予感。

反対側の壕口に辿り着いた。
塞がれているのだが、懐中電灯を消してみると、上部から光が漏れていた。
この近くにも廃車があるということで、横坑に潜り込む。
しかし、この辺りはすごい崩落。
埋め戻しではなく明らかに崩落。
恐る恐る歩を進めると…。

おー、たしかに廃車がある。
つーか、水没も凄いな。

今来た崩落の瓦礫の間を戻っていく。
今地震が来たら死亡かも…。

写真で見ると危なそうな感じに写ってるけど、現場はもっと危険な感じでした('A`)

なんとか無事に格納庫部分に戻ってきた。
まあ、相変わらず足場は悪いし水没はあるしで気は抜けないのだが…。

反対側の巨大壕口であるが、上部までしっかりと塞がれている。
上部の隙間には、巨大な岩が押し込まれているが、あれって、どうやって入れたんだ!?

付近で見つけた洒落た意匠の遺物。
天井に取り付けられているが、なんだろうか?

これも付近の枝坑にあった遺物。
飛行機の下に爆弾を設置する際に、これに乗せて飛行機の下まで運んだそうである。
なぜ1つだけ残されているのかは分からないが、これは貴重なのでは!?

1時間以上かけて回った、飛行機格納庫だったB壕であるが、外に出ると心配していた雨が降り出していた。
木々の奥に見えている塞がれた壕口が、霞の中で神々しく見えている。
雨の中、探索はまだまだ続く。
C壕、D壕は遺構、遺物がたくさん!
後半へと続きます。
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