
今度は、通称『クレーン壕』と呼んでいる壕への潜入だ。

壕口は、山肌を少し登ったところにあるため一見分かりにくいが、十分に出入りできるくらいに広がっている。

壕内に入ると、発電機が設置されていたと思われる部屋がある。
壁面全面に防音材のような物が巻かれていたらしく、大量の釘が残っていた。
また、配線を壕床の下に潜らせていたらしく、配線用のパイプも随所に見受けられた。

発電機室を抜けると、巨大な空間が広がっていた。

稼働時にはガントリークレーンのような物が設置されていたのか、広い壕内の両脇には鉄骨を立てていたと思われるコンクリートの台座が並んでいる。

広い壕から横坑へと進んで行く。
頭上には碍子が並んでいる。

しばらく進むと、木製のクレーンが朽ち果てている壕に出た。
かなり大型のクレーンだったのであろうが、1本以外全て倒壊している。
歯車はかなり良い状態で残っていた。

木製のクレーンの残骸を乗り越えて奥へ進むと、面白い作りの遺構が残っている。

木組みの構造物は、当時の物だと思われるが、ほとんど朽ちることなく原型をとどめている。
また、木組みされている周囲は、金網にコンクリートを吹き付けたような、中空構造の壁面となっていた。
このような構造は初めて目にしたのだが、物資節約のためなのだろうか?

扉自体は遺されていないが、ヒンジの保存状態も良く、稼働する状態を保っていた!

ここに遺されていた電球。
壕内に残っている電球は、『マツダ』か『エビス』がほとんどであるが、夏島の各壕には、どちらの電球も見受けられた。

侵入した発電機室に戻ってきた。
ここに常駐する人がいたかは分からないが、この壕にはかまどのような物が構築されていた。

これがその写真であるが、発電機室にかまど!?
しっかりと排煙設備も備えられているが、もしかしたらここはかまどではなく、何かしらの機械が設置されていたのかも知れない。
ちなみに、手前に写っているのは地中配線用のパイプである。

最後に訪れたのは、夏島の 1層目部分では比較的狭い壕である。
幅2.5m程の坑道が入り組んでいた。

壕口は周囲から丸見えになっている。
しかし、高さは 30~40cm程度しかなく、普通の人はまず入らないだろう。
自分も入るのを躊躇するほどの狭さである。
しかし、話によると以前は今よりも狭く、匍匐前進でないと侵入できなかったらしい。

なんとか体を潜り込ませると、四角く掘られた壕内が現れた。

壁面に構築されている収納庫も、非常に丁寧に構築されていた。
この感じ、貝山 3層目の壕に酷似している。

天井に、ランプソケット付きの碍子を発見。
これは珍しいかも。

奥へ進んでいくと塞がれた壕口があった。
夏島の壕は、塞がれ率が非常に高い。

奥へ進んでも、四角く構築された構造に変化は見られない。
どうやら、この壕全部がこの形で掘られているようだ。

壕床には排水用の溝も設けられている。

訪れる人がほとんどいないせいか、壕内にはたくさんの遺物がある。
軍靴や防毒マスクはそこら中に転がっているし、当時の物であろう瓶もたくさん見られた。

今度は天井にランプ付き碍子を発見!!
この状態で、よく朽ち果てずに残っていたものである。
通電したい!!!!

ほれぼれするほどにきれいに構築されている壁面の収納庫。

壕内のそこかしこに、海軍食器や防毒マスクのパーツが散乱している。

更に奥へ進んでいくと…。

地下へ降りる階段を発見!!!
ここって、階層構造だったのか。

しかし地下へ降りると、奥に部屋が 1つあるだけだった。
上部には穴が開いており、光が差し込んでいる。

排煙用だろうか。
壁面に溝が掘ってある。

大量の煉瓦と、ブルーのランプを発見。

ランプは今度は『マツダ』製だった。

弁当箱の蓋であろうか。
真鍮製で、『横須賀購買所』と掘られている。
夏島の資料館が出来たら、展示されそうだな。

一通り回ったので、そろそろ撤収。
再び狭い壕口をくぐり抜ける。

せっかくなので、上層部も見ていこうと言うことで、薮を漕ぎながら上層部へ向かう。

いつ来てもここ、2層目の壕床はフカフカである。

構造も単純で、見るべき物は無いと思っていたら…。

奥の方でコンクリートの遺構を発見。
恐らく当時の物であろう。
今まで、こんな物が遺されていたとは気がつかなかった。

2層目を後にして、頂上へやってきた。
頂上には砲台跡や掩蔽部が遺されている。

しかし、薮がすごく進むのが大変。
この時期は、探索には向かないよな-。

ガラス付きで残っている、非常に保存状態の良い弾薬庫は健在だった。
何度来ても良い!!

機銃を止めていたと思われる、地面から突き出たボルトの長さが、以前訪問時よりも長く感じたが、気のせいだろうか!?

海軍の鉄塔も、この時期は薮に埋もれていた。
夏島には何度も足を運んでいるが、訪れる度に新しい発見がある。
これからの時期は薮も枯れ、探索しやすくなっていくだろうから、引き続き調査を続けていくつもりである。
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